10年後のきれいをつくる、10の選択。

いまの自分でいることを、もっと楽しむ。AYANAさんが立つ、50歳の「更地」

AYANA(ビューティーライター)

ビューティーライターとして活動しながら、スキンケアブランド「OSAJI」のメイクアップコレクションディレクターも務めるAYANAさんは、美しさについて考え、言葉にしてきた第一人者です。50歳を迎えた今、気持ちはまっさらな「更地」へ。心身の変化を感じながら、自分にとって心地いい美容を、ここから探そうとしています。自分らしい美しさを再び楽しむために、始めたこと、続けている習慣、これから試してみたいことなど、「10の選択」を伺いました。

50歳、自分らしさを選び直す

「かつては、気力や勘で勢いよく動くことができていたけれど、今は、気力も体力も、若い頃とは違うんです。例えるなら、これまでは大きな積み木ひとつでドーンと高さを出せていた。でも、もうそれができない。その変化を悲しむのではなく、これからは小さな積み木を工夫して寄せ集め、同じ高さを出していかなければいけないのだと、なんとなく覚悟が決まった感じです。悩んでいた時期を抜け、まっさらな更地に立ったような。美容も健康習慣も、今の自分に必要なものを、ここからまた探してみたいと思っています」

「小さな積み木」とは、AYANAさんが変化の過程、日々のなかで見つけ、拾い集めた工夫です。その一つひとつに、今のAYANAさんが大切にしたいことが表れています。

AYANA

01不調を抱え込まず、クリニックを頼る

以前は健康よりも美容への関心が断然高かったというAYANAさん。意識が大きく変わったきっかけは、40代後半に経験した心の不調でした。

「理由のわからない不安が続くなか、クリニックで血液検査を受けたら、鉄や亜鉛などの栄養素が足りていないとわかり、サプリメントを処方されました。実はこれまでサプリメントには懐疑的でピンときていなかったのですが、飲み始めると、不安感が明らかに軽くなり、イメージがガラリと変わりました。今は定期的にクリニックへ通い、体調についても相談するように。その時々に必要なものを処方してもらっています。一連の出来事を通して、健康の大切さを痛感しました。健康がなければ美容も楽しめませんから」

02タンパク質を意識して、きちんと食べる

健康に目を向けるようになり、食事で大切にするものも変わりました。若い頃は野菜を意識していたAYANAさんですが、今はタンパク質をきちんと摂るようにしています。

「一時期食事制限で7、8キロ痩せたのですが、気力や体力までガクンと落ちてしまって。若い頃はアイドルのような細い体型に憧れもしたけれど、今は、きちんと食べて体力を保つことが、精神にも仕事のパフォーマンスにも大きく影響すると感じています」

03キックボクシングと朝のランニングで体力維持

変化の中を生き抜くためには、まず体力が必要。そう悟ったAYANAさんは、昨年からキックボクシングを始め、最近では朝のランニングも習慣にしています。

「キックボクシングは、一時は週3回通うほど夢中になりましたが、肉離れしてしまったのもあり、今では無理のないペースで通っています。仕事柄、基本的にずっと座っているので、血流も悪くなるし、体も固まってしまうんですよね。キックボクシングはそれを強制的に動かしてくれる。30分やるとものすごく汗をかくので爽快だし、何より楽しいんです。キックボクシングを始めてから、自分の体とも少し仲良くなれた気がします。以前は調子が悪くてもどこがどう悪いのか、ちゃんとわかろうとしなかった。思い込みでぞんざいに対処することも多かったです。今は逐一調べたりクリニックに相談し、自分の体に興味を持てるようになりました。

最近は、息子と一緒に朝のランニングもしています。家の周りを3周するくらいですが、一日の始まりに体を動かすと気持ちがいいんですよね。これからはきっと、何もしないとどんどん体力が落ちてしまうので、しっかりキープできるよう意識したいです」

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04一日の始まりに、時間の使い方を決める

息子さんのお弁当や朝食も用意する朝は、ランニングを加えれば、いっそう慌ただしくなります。限られた時間を生かすために、AYANAさんが実践するのは、一日の計画を立てることです。

「朝に計画を立てるだけで、一日のクオリティが3倍くらい上がると思っています。何となく過ごしていると、今日は何をする日だったんだっけ? と、1日が終わってしまうことも多々。いつ何をするかを決めておけば、できたことだけでなく、できなかったこともちゃんと確認できるので、また次にやるべきことがクリアになります」

05「やってもやらなくてもいいこと」をやめない

限られた時間を上手に使う一方で、「役に立つかどうかでは決めない時間」を、日々のなかに残していると、AYANAさん。

「コンビニのお菓子のコーナーを気ままにチェックしたり、無印良品を端から端まで見たり、Pinterestで好きな画像を探したり。“心のなかの小さな自分”が喜ぶようなことです。以前、工藤静香さんが『時間がないってことはありえない』と話しているのを聞いて、あんなに多忙な人の台詞だからすごく説得力があって、ずっと覚えているんですよね。時間はないようであるし、あるようでなくて、どちらにも捉えられる。だから私は、『ないようで、ある』ことを忘れずにいたいです」

06自信のない自分も、ジャーナリングで受けとめる

“心のなかの小さな自分”が、何を感じているのか。その声に耳を傾けるために始めたのが、朝のジャーナリングです。決まりをつくらず、そのとき心に浮かぶことを書いているといいます。

「最初は『なぜ自分はこんなにダメなんだろう』とか、自分の中にあるネガティブなことばかり書いていました。じゃあ自分はどうなりたいのかと問い続けていくと、自信がないままでも、その自分を肯定することなのかもしれない、と気づいたんです。私は自分に自信を持ちたいわけではないのかもしれない。ただ自信がないことを責めたり、自分を卑下したりはしたくない。今はまだ準備体操のような段階ですが、ジャーナリングを通して、自分との付き合い方も変えていけたらと思っています」

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07眠りの変化に合わせ、睡眠をケアする

更年期とともに、眠りにも変化が訪れ、睡眠の大切さを実感しているというAYANAさん。今最も力を注いでいるのが睡眠のケアです。

「すぐに眠れて、ぱっと起きるのが得意だった自分が、まさか眠れなくなるとは思っていませんでした。今はホットフラッシュで目を覚ましてしまうことも多く、サプリメントを取り入れたり、覚醒時には首を冷やしたりと、いろいろな対策を試しています。あれこれやってみることも案外楽しんでいるんです。どんなにつらいことも、素晴らしいことも、ずっと同じではなく、変わっていく。心身の変化に落ち込みそうになったとき、そう捉えると、少し楽になれる気がします」

08毎日のシートマスクで、肌を丁寧にケアする

変化していく自分にあった美容を探している今、大切にしているのは、毎日のケアにきちんと手をかけること。シートマスクをはじめ、日々のケアで、より丁寧に肌と向き合うようになったといいます。

「もともとシートマスクが大好きで、以前は毎日朝晩使っていたんです。ここ2年ほどは、忙しさにかまけて、なんとなく手が伸びなくなっていました。でも最近また始めてみようと思い立ち、使ってみると、やはり何もしないときに比べて、肌のハリやキメが全然違う。再び毎日のケアに取り入れるようになりました。肌の良い変化を実感すると、ケアが楽しくなります。歳を重ねた今、日々のスキンケアを丁寧に続けることの大事さを実感しています」

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09プレミアムなケアを取り入れながら、自分に似合う肌を探る

手をかけた分だけ生まれる変化を楽しむ一方で、20代のような肌に憧れるわけでもない。今の肌をどう編集していくのか、AYANAさんはその「落としどころ」を探しています。

「シワもたるみも気になる。でも、シワもたるみも一切ない、つるっとした肌に変身したいかと聞かれると、少し違う気がするんです。大人の印象のまま、きれいでいるにはどうしたらいいのか。私にとって心地いい肌とはどんな状態で、そのために何をすればいいのか。正直、まだ答えは出ていません。ただ、今の肌になったからこそ、エスティ ローダーやコスメデコルテ、ラ・メールなどのプレミアムなスキンケアの良さがよくわかるようになりました。手をかけることを楽しみながら、自分なりの美しさを見つけていきたいと思っています」

10ブラウンリップで、しっくりくる顔に仕上げる

一方、メイクには、この10年欠かせなかったアイテムがあります。自分の顔がしっくり仕上がるという、ブラウンリップです。

「10年どころか、高校生の頃からブラウンリップが好きで、エルメスやトムフォードなど、そのときどきで、自分がいいと思うものを使っています。美容の仕事をするなかで、一時は、流行に乗っていなければいけないのではないかとどこか焦っていたこともありました。人の期待に応えなきゃとか、案外周囲の目を気にしているところがあったんだと思います。でも外側ばかり意識していると、だんだん自分の感覚がわからなくなってしまうんですよね。最近はそこから少し目が覚めて、自分がいいと思う感覚を純粋に楽しめるようになってきました」

AYANA

アウトプットで輝かせたい、これからの10年

心や体の変化に翻弄されながら、少しずつ自分の感覚を取り戻してきたAYANAさん。これからは、外見だけでなく、自分から生まれるものにも、美しさを見つけていきたいと考えています。

「今の時代は、誰かの発信を見たり、自分と比べたりと、インプットすることに忙しくなりがちです。でも、文章を書いたり、絵を描いたり、好きな人とお茶を飲んだり。人の目を気にせず、自分の気持ちや感覚をアウトプットする時間を増やすことが、ますます大切なのではと思っています。そんな時間を過ごしているときはきっと、いい顔をしていると思いますし、それが自分らしい美しさにつながっていくのではないでしょうか。50歳になって、『動けるのもあと10年』と考えるようになりました。美容医療も試してみたいし、絵も描けるようになりたい。香りの勉強を続けて、いつか自分で調香したフレグランスもつくってみたい。これからは自分から発するもの、生み出すものにもエネルギーを注ぎ、輝かせられたら素敵だなと思っています。でも60歳になったら、案外また同じ調子で『あと10年』と言っているかもしれませんね」

文:秦レンナ

写真:長田果純