10年後のきれいをつくる、10の選択。

ゆらいでも、自分に戻れる。松田未来さんが選ぶ今日の「大満足」

松田未来(ヘアメイクアップアーティスト)

ヘアメイクアップアーティストとして、またコスメブランド「rihka(リーカ)」のディレクターとして、外見を整えるだけでなく、美容を通して一人ひとりが前を向くきっかけを届けてきた松田未来さん。自身もまた年齢を重ねる中で、その時々の変化と向き合いながら、自分の軸を育んできました。今日もこれからも、自分らしく、美しくいるために。未来さんにとって欠かせない美容法や体を整える習慣、ものや人との関わり方など、「10の選択」を伺いました。

年齢を重ねながら育てる自分の軸

「よく『年齢を重ねると楽になる』と聞きますが、私自身はまだ、そこまで実感していないんです。ただ、以前よりも視点を切り替えられるようになりました。昔は、SNSで100個のいい言葉をもらっても、たった一つのネガティブな言葉に心を大きく揺さぶられていたんです。人からの評価と自分の価値が、つながっているように感じていたんですよね。でも今は、『あなたはあなた、私は私』と切り離せるようになりました」

年齢を重ねるなかで育ててきたのは、ゆれない心ではなく、ゆらいでも自分へ戻れる軸。そこに至るまで、未来さんは何を選び、大切にしてきたのでしょうか。

松田未来

01時間と心に、「余白」を持つ

価格やブランドではなく、心地よくあり続けられるかどうか。何かを選ぶ基準は20代、30代の頃から変わらないという未来さん。変化したのは、自分らしく判断するための心の置き方でした。

「以前は何に対しても『早く、早く』と、結果を求めて焦ることもよくありました。でも、そんな状態では、自分らしい判断はできないんですよね。思ってもいないことを口にしてしまったり、空気に飲まれて『YES』と言ってしまったり、そんな経験から、落ち着いていることが、自分らしくいるためのベースだと気づきました。そのためには、心身を整え、時間や心に余白を持つことがとても大切です。時間をかけることが、より大きな自信につながることもあると思っています」

02週1回のピラティスと、毎日のストレッチを続ける

すぐに結果を求めず、時間をかけて変化を見ていく。未来さんが、その大切さを実感しているのが、5、6年ほど続けているピラティスと、日々のストレッチです。

「ピラティスは週1回、スタジオに通っています。筋肉がつきにくい体質なのですが、5、6年ほど続けるうちに、体のラインも大きく変わりました。加えて、パソコンやスマートフォンを使ったあとは、ストレートネックにならないよう、こまめにストレッチもしています。お風呂でも首を伸ばしたり、頭をほぐしたりするようになり、気になっていた顔のたるみも変化が出てきました。こうしたケアは、すぐに大きな変化が表れるものではないから、習慣にすることが大切。でも、長い目で見るだけでは、なかなかモチベーションが続きません。だから、首のこりがほぐれた、目や顔がすっきりしたという、目の前の“小さなラッキー”にも目を向けます。小さな手応えと、続けた先の大きな変化、両方があるから無理なく続けられる。今ではピラティスもストレッチも、やらないと気持ちが悪いくらい、生活に欠かせないものになっています」

03良い姿勢を育てる

ピラティスやストレッチを続けるなかで、体のラインとともに大きく変わったのが姿勢でした。未来さんは今、姿勢こそ、美しさと健やかさを支えるものだと感じています。

「以前はもっと猫背だったのですが、ピラティスを続けて、歩き方や立ち方も変わりました。私は、姿勢がよかったら無双できると思っているんです(笑)。骨と内臓の位置が整えば健康にもつながるし、背筋が伸びれば気持ちも変わる。見た目にも、圧倒的なオーラが出るじゃないですか。ただ、一朝一夕で身につくものではないから流行りにくいし、美容法としては地味で、なかなか注目されない。でも私は今、いちばん“姿勢推し”です!」

松田未来

04自分の「大満足」をものさしにする

いい姿勢や程よく筋肉のついた体を目指すのも、それが世の中の正解だからではありません。未来さんが美しさを選ぶ基準にしているのは、自分自身が心から納得できるかどうかです。

「『自分らしい美しさ』は、人によって違うと思うんです。可愛らしく見えたい人もいれば、若く見えることを望む人もいる。私の場合は、自分の体がきれいに見えることがひとつの基準です。例えば、私は白いコットンレースのヴィンテージの服が好きなのですが、白い肌で着ると、自分には少し甘く見えてしまう気がして。理想は、筋肉のついた、少し日焼けした体に合わせること。だからあえて肌を焼いているんです。美白ブームのなか、周りから驚かれることもありますが、自分が『超いい感じ!』と思える方を選びたい。それが、私にとっての“大満足”なんですよね」

松田未来

05専門家を頼り、自分の肌と体を知る

自分が心地よいと感じることを大切にする一方で、肌や体の状態は、思い込みだけで判断しない。未来さんは専門家や検査の力を借りながら、自分に必要なものを確かめています。

「私は肌が敏感な方で、これまでいいと言われるさまざまなものを試しては、肌荒れを繰り返してきました。それが、10年くらい前に皮膚科できちんと診てもらうようになり、脂漏生皮膚炎であることがわかって。以来、オイルなど自分の肌に合わない成分の入ったものは、避けられるようになりました。今も定期的に通って、不安なことがあれば先生に相談するようにしています。体についても、血液検査や遺伝子検査を受け他ことで、自分の体質や、必要な栄養素も知ることができました。一般的には必要とされているものが、必ずしも自分にも同じように必要とは限らないし、反対に、自分だからこそ補ったほうがいいものもある。専門家に診てもらうと、今選んでいるものや進んでいる方向が自分に合っているのかを確認できるので、安心感にもつながっています。

今は、年齢とともに変化する膣まわりや骨盤底筋のケアにも注目しています。なかでも『膣HIFU』は興味津々。これから取り入れることで、自分の体がどう変わるのかを知りたいと思っています」

06タンパク質を摂り、グルテンフリーは無理なく

「筋肉がつきにくい体質だとわかってからは、タンパク質や食物繊維を意識して摂るようになりました。魚介類が好きなので、魚やエビを選ぶことが多く、毎朝豆乳も飲んでいます。食事は基本的に自炊です。自分でつくれば、タンパク質の量やカロリー、おいしさのバランスを、自分の好みに合わせられますから。また、グルテンフリーも、ゆるやかに取り入れています。でもパンが大好きなので、すべてを厳しく制限するのではなく、パスタを豆でできたものに替えるなど、できる範囲で試みています。年齢を重ねて、体調を崩したり、疲れやむくみが出たりと、食事の影響がはっきり現れるようになった気がします。元の状態に戻すまでに何週間もかかるのなら、日頃から無理なく、バランスの良い食事をしようと心がけるようになりました」

松田未来

07睡眠を第一に、22時に寝て5時に起きる

ヘアメイクアップアーティストとして、また自身のブランド「rihka」のディレクターとして、多忙な日々を過ごす未来さんですが、仕事では、常に100%のパフォーマンスを出したいと語ります。そのために欠かせないのが睡眠です。

「この10年で、以前よりもはっきり優先するようになったのが睡眠です。昔は、まだ遊びたいとか、もっとお酒を飲みたいという欲のほうが勝っていました。それでも若さでなんとかカバーできていたけれど、今は寝不足になると確実にパフォーマンスに影響が出るし、回復にも時間かかかる。体力は無限ではないとわかって、睡眠を第一に考えるようになりました。今は22時頃に眠り、朝5時頃に起きる生活が習慣になっています」

0810日一度、爪をケアする

どんなときも落ち着いた心でいられるのは、ふとした瞬間に目に入る、きれいな爪のおかげ。10年前から続けている素爪のケアもまた、今の未来さんを支えています。

「爪がきれいだと、本当に自信になるんです。人から褒めていただくのもうれしいけれど、それ以上に自分の内側が整って落ち着くような感じがあって。部屋をきれいな状態にしておくのと同じような効果があると思っています。今は10日に一度サロンに通っているのですが、毎回ケアしてもらうたび、家でもちゃんと保湿しよう、小さなところまで大切にしよう、と思える。忘れかけていた気持ちを、定期的に戻してもらえる場所でもあります」

松田未来

09信頼できる人を選び、あとは委ねる

ヘアもメイクも、仕事も、なんでも自分で決めたいタイプだという未来さんですが、年齢を重ねるなかで、信頼できる人に委ねることができるようになったと語ります。

「私は自分で何でも決めるタイプで、こだわりもすごく強い。一歩間違えたら、一緒にいる人を窮屈にしてしまうかもしれないとも思うんです。だからこそ、仕事でも、日々のケアでも、誰にお願いするかは自分でしっかり選ぶようにしていて、あとは細かく指示せず委ねることが増えました。もちろん思っていた通りにならないこともあります。でもだからこそのいいサプライズがあるし、何よりみんなが思いきり楽しめる。結果いいパフォーマンスが生まれる気がしています」

10小さな望みを我慢しない

周りの人に楽しんでもらうためにも、まずは自分自身が満たされ、機嫌よくいること。未来さんは、日々の小さな望みを叶えることが、周囲への寛大さにもつながると考えています。

「ゆらがない自分でいようとしなくても、ゆらいだときに戻れたらいい。そのためにも、やりたいことを我慢しないのはすごく大事です。食べたいものは食べ、髪をきれいにしたかったらヘアサロンへ行き、早く寝たかったら、早く寝る。そうやって自分の小さな望みを叶えていると常にハッピーでいられるし、人にも寛大でいられる気がするんです。時間やお金、周りの目など、できない理由はいくらでもあると思います。でも、そのなかでやりくりし、自分なりに工夫できることもある。我慢を重ねて不機嫌でいるほうが、かえって周りの人を困らせてしまう気がするんですよね。だから、やりたいと思ったことを、最初から諦めないようにしています」

松田未来

「大満足」を選んでいけば、10年後も大丈夫

未来さんの10の選択に通じているのは、遠い理想に目を向けて今の自分を「足りない」とするのではなく、その時々の自分を知り、心地よくいられる方法を選び続けること。変化にゆらぐ日があっても、そのときの「大満足」を選び直せたら、未来を必要以上に怖がらなくていいのかもしれません。

「10年後も、そのとき着たい服や、やりたい髪型、夢中になれることがきっとあると思うんです。だから今と同じように、やりたいことをやって、いつもわくわくしていたい。そのときの自分が『大満足』と思えるものを選んでいけば、きっと大丈夫だと思っています。年齢を重ねることで臆病になることもあるかもしれないけれど、興味を持ったことにはためらわずに飛び込めるように、筋力ももっとつけなくちゃ、と思っています(笑)」

文:秦レンナ

写真:長田果純